アイドルオタク徒然日記

アイドルオタクのちょっと勢い強めな日記

 先日、アイドルオタクではない友人と飲んだ時のこと。彼女は僕が重度のアイドルオタクであることも知ってるしSNSで日々アイドルを愛でて暴れ狂っていることも知っているので、当然誰を推しているのかも知っているのだが、「唇が薄い人がすきだよね?」と言われた。彼氏に僕の推したちを紹介したところそう分析されたらしい。(カップルでいったい何をしてるんだ…??)
 僕は今現在6グループ6人ほど推しがいるけど、確かに言われてみれば、唇全体がというより上唇が薄い子が多い気がする。treasureのASAHI、二宮和也BTSのSUGA…でも、ぽってり唇がチャームポイントのTXT・YEONJUNさんも大好きだし、当てはまってたり当てはまってなかったり。本人の雰囲気やグループのイメージ、年齢も結構バラバラだ。一体推しのどの部分に惹かれているんだ?たぶん、何かしらの系統はあるはずだ。アイドル好きでもそうでない人でも「好きなタイプ」というのはあるんだから。
 僕の場合、大きな苦労を乗り越えた人が好きだ。
 いや、アイドルなんてみんな練習生時代や売れない時代を乗り越えているんだから大きな苦労をしてきてはいるんだけど、もっとパーソナルなものを乗り越えた人にしかない優しさがきっとあって、それに惹かれている気がする。
 
 苦労人でまず思い浮かぶのはバンタンのユンギさん。リーダーのナムジュンさんとともに練習生時代がグループ内で最も長く、まだ小さかったBigHit(現HYBE)に入り、デビューできるかも売れるかも分からない中でひたすらラップをしてきた人だ。練習生時代には事故で肩を負傷し、うつ病や対人恐怖症にも悩まされたそう。爆発的に売れてからも、「思ってもみない高さまで一気に来てしまった、墜落が怖くなった」と悩んでいた。
 口の激しい攻撃的なラップをするユンギさんだが、メンバーやファンに向けてかける言葉には優しさが滲む。印象的だったのは、「良い夜じゃなくてもいい、楽な夜であるように」というある配信での挨拶だ。理想の夜を過ごしたいのに、心穏やかにすらなれないままベッドに沈む夜があることを知っている人の言葉だと思った。
 ほかにも、「夢は持たなくてもいい」と語っていたり、メンバーに「一人で泣くんじゃなければいいよ」と声をかけていたのを思い出す。励ますのではなく、許すという優しさだ。本当に心が疲れてしまった時、励ましの言葉を受け取ることができないし、受け取れない自分のことがさらに嫌になる。そんな時に「それでいいよ、でも傍にいるよ」という言葉にどれほど安心することか。 
 そんなユンギさんの音楽の中でも、わたしは「Life Gose On」という曲が大好きだ。BTSで発表した同名曲をリミックスしAgust-D名義でリリースしたアルバムに収録されている。人生は続いていく、お互いに遠くなっていく、それは寂しいことだけど、いつかまた道を共にすることができると信じている、そう歌い上げる名曲だ。諦観と優しさを持ったこの曲を様々な葛藤を乗り越えてきたユンギさんが歌うのを見て、僕は顔を上げられないほど号泣してしまった。

 SexyZoneの松島聡も、自分の心に向き合って困難を乗り越えた子だ。彼はパニック障害で一時期活動を休止していた。僕が彼をちゃんと推し始めたのは復帰後なので休止前後で彼自身にどんな変化があったのかは正直知らないのだが、インスタのコメントやコンサートでのあいさつを見ていると、底抜けに優しい子だなと思う。
 「皆様の癒しになれたら」「穏やかな一日を」「無理しないで」そういう言葉が出てくるアイドルだ。インスタで「心を落ち着けたいときはどうしたら良いですか?」というファンからの質問に、真剣に長文で応えてくれる。たまに、自分自身ちょっと心がざわざわしたと残したりもしている。いい言葉も悪い言葉も届いてしまう世界に居て正直心配してしまうほどやさしくて繊細だ。
 でも、彼はアイドルの世界に戻ってきて今もステージに立っている。再び飛び立つ覚悟を歌うソロ曲「Turbulence」をドームツアーで披露した。そんな聡ちゃんに、彼がアイドルでいる限りは一生、緑のペンライトの海を見せ続けてあげたい。

 そして、f(x)のメンバーで現在はソロアーティストとして活躍するamber liu。…実はここ数日、僕自身がふさぎ込んでしまうくらいに彼女の境遇に思いを馳せていた。
 初めて彼女を知ったのはもう大手事務所を離れてからのことだったのでグループ活動当時のことはほとんど知らないのだが、f(x)はいわゆる「事務所推され」ではなかったらしく、元ファンだった知人いわくあまりグループ活動をさせてもらえなかったらしい。過去のインスタグラムでも、「彼らはまだ足りないという」とやるせなさを綴った投稿をしていた。 表現したいものもやりたい音楽もあるのに、応援してくれる声があるのも分かっているのに、機会すら与えられないなんて、どんなに辛かっただろう…そう思うと、なぜか僕まで落ち込んでしまった。
 そんな彼女のワールドツアー東京公演に行った日のことだ。彼女は序盤で「私のライブには一つだけルールがある」と言った。思いっきり楽しんで盛り上がってね!と言われるのかと思っていたら、全く違った。
「自分らしくいて。楽しいと思ったら手を挙げて踊っていいし、そういう気分じゃなかったらしなくてもいい。ただ自分らしくいて」
 ステージでそんな言葉をかけるアーティストが居るのかと驚いた。自分の音楽が、ライブが、盛り上がるためにあるのではなく、その人それぞれのためにあってほしいと彼女は思っているのだ。amberさんがしたかった音楽はそういうものなんだ。
 そんな彼女が大手事務所退所後に出したミニアルバムの一曲「Stay Calm」のMV冒頭には、こう記されている。
「You ARE You. NO ONE CAN TAKE THAT AWAY FROM YOU」
 これからも、彼女が届けたいと思う音楽を歌い続けることのできる世界であってほしいと願う。

 ここには書ききれないが、活動休止発表後のコンサートで「僕たちが居なくても自分の人生をみんな歩んでいけるように」という二宮和也や、ライブで「つらい時には僕らが居るってことを思い出してもらえたら、そんな存在になれたら」と毎回語るASAHI、リーダーの誕生日に「後ろにはヒョンが居るよ」と伝えるヨンジュンさんなど、押し付けない柔らかな優しさを見た時、それが自分自身と向き合って葛藤を乗り越えてきた過去から出る優しさだと分かった時、僕は「この人の幸せのために推し続けたい」と思う。
 そしてつい先日、健康上の理由で活動休止していた元treasureのMASHIHOがついに再び動き出した。彼がこれから歩む道も、きれいな花道であってほしいと思う。すべてのアイドルが、そうであってほしい。

 

 

ちなみに、唇の薄い人は人相的に「愛情が薄い人」という印象を与えるらしい。

…確かに、「リアルで好きになったらダメな奴」なビジュの時が一番好きだな…